高大連携事業  生命科学特別授業
日時 担当教員 テーマ
 第1回
 5月19日
望木 郁代 先生
(医学医療教育学)
遺伝医療と倫理
第2回
6月10日
島本 亮 先生
(呼吸器外科)

移植医療の現状と問題点
-心臓移植-
第3回
7月6日
杉本 昌彦 先生
(眼科)
視機能喪失の予防と改善
第4回
6月21日
岸和田 昌之 先生
(肝胆膵外科)
膵ぞうがんって何だろう?
第5回
6月29日
竹村 洋典 先生
(家庭医療学)
地域で活躍する家庭医・総合診療医に必要な能力とは?

     

授業の様子

≪第1回≫
 

≪第2回≫
 

≪第3回≫
 

≪第4回≫
 

≪第5回≫
 

 
生徒の感想

≪第1回≫

病気が親から子に遺伝するということは、正常の親から遺伝による病気を持つ子は生まれないと思っていた。しかし、今回の授業で遺伝性疾患はすべての人が持っているということが分かった。医療技術は発展し続けても、技術的にできることすべてを行うべきではないと思った。医療技術の発展により、簡単に自分の遺伝子が知れるようになったことで、発症する前に将来の発症を予測できるなどのメリットもある。しかし、出生前診断を利用する場合は中絶を考えている人が多い。だから医療にどのような意味があって、どのように使っているのがよいか考えなければいけない時代なんだと思った。   
       
医療が発展していったとしても、それに患者側の人々がついていっているとは限らず、理解できるようにしっかり説明することが大事だということ、また、発展すればするほど良いことが増えるとは限らず、その分知ってしまう事実もあり、それが果たして患者さんやその人の親類、友達に対しても良いことなのかを判断することが必要だ、ということが分かり、自分の気づかなかった世界、見方を学ばせて頂けたので、とても良い経験になりました。同時に医療を理解し、倫理的な視点も合わせて患者さんへ最善の治療を判断し、提供する医師という職業の大変さも感じられました。これから、そのような職業で活躍していらっしゃる先生方から多くのものを感じ、将来へと活かしたいと思っています。今日は本当にありがとうございました。

望木先生のお話を聞かせて頂いて、「妊婦は中絶の選択肢をもって、胎児が障がいをもって生まれてくるかどうかの検査を受けている」という内容が印象に残りました。遺伝学的検査は行うことで、遺伝性の病気を未然に防ぐことができるので、良いことなのではないかと始めは思っていましたが、障がいをもって生まれてくるかもしれない赤ちゃんが、中絶によって生きる権利を奪われているという点を考えると、すべての人に良い結果をもたらすものではないのだと感じました。障がいの有無にかかわらず、生まれる前の命も平等に、大切にするために、私たち自身が正しい知識をもって、命を繋いでいくことに関して、慎重に考え、行動していくべきだと思いました。


≪第2回≫

今まで移植はなかなか身近に感じられなかったけど、今回の授業のように私を含め、多くの人が移植についての知識をより深めることができれば、健康であるうちにドナーになるかどうかなど考えておく人も増えるため、ドナーの数も増やせるのではないかと思った、しかし、様々な視点からの発想の転換はどんな時でも大切だと思ったので、今のドナーの数でも、多くの人を助けられる方法を考えられるために、様々な経験をしたり、多くの人との関わりによって、いろんな見方ができるようにないたいと思った。また、面接でも対応できるように、より具体的でぶれない将来の医師像を持とうと思った。          

心臓移植と一言でいっても様々な倫理問題を抱えていることを知りました。日本では脳死を死と受け入れられない現状がまだ広くあり、また、心臓という代わりのないたった1つの臓器ということが、さらに問題を深くしているのだと感じました。実際の手術動画を見せて頂いたことで、分かりやすく、かつ詳しく移植そのものを知ることができ、心臓の大きさ(健康なのと病気のもの)を比較して見れて医学の知識を得ることができました。また、心臓移植が全てでなく、人工心肺や装置、薬の発展を大切にすることで命を救っていけるという考えもあるのだと思いました。 

心臓移植について、さまざまなことを学ばせていただきありがとうございました。今回の授業を聴いて、日本における心臓移植の現状がどのようなものであるかがわかりました。最も印象に残ったのは、人口100万人当たりの年間心臓提供者についてです。法律改正前と後で、約6倍になっているのもかかわらず、他の国と比較するとその少なさは驚かされるものでした。心臓移植の手術ビデオは見ていて興味を引かれました。思っていたよりは単純なものでしたが、4時間以内に正確に行わなければならないと考えると大変なものだと思いました。

今回の講義で感じたことは、心臓移植医療が様々な意味で難しく、大変なものであるということです。心臓を取り出してから4時間以内に移植しなければならないとか、その時間的な都合上、一度のミスも許されない、やり直しがきかないといった技術的な困難さはもちろんのこと、倫理的な問題などが絡んだりして大変だなと感じています。その中でも日本では特にドナー不足の問題が深刻だと思います。確かに人工心臓を進化させることや他の治療法を生み出すのも手ですが、今苦しんでいる患者さんを救うためには、やはりドナーを増やすことが不可欠かなと思います。7月の参院選ではその点についての政策など、受験勉強の間にも確認しようと思います。  


≪第3回≫

視機能喪失の原因は緑内障や白内障が思い浮かんだけど、糖尿病が原因ということもあるのは初めて知った。糖尿病から視機能喪失につながる理由が、図での説明もあって、よく分かった。目が見えている生活がすごく当たり前であるから、目が見えないことが想像できないし、自分だけでは何もできなくなると思う。だから視機能喪失を防ぐことが大切なんだと思った。目が見えているときは、このままでは見えなくなるかもしれないとは思いにくいから、喪失してしまう前までに発見することは難しいのではないかと思った。目が充血したり乾いたりすることはよくあったので、原因が分かったし危険さも理解できた。  

今日の講義では視力を失うということの重大さ、失明に至る原因やどのような過程で視力が低下していくのか。また三重大学についての情報などについて知ることができました。今日もっとも印象に残っているのは、本編の内容ではないのですが、白内障手術は日本においては容易なものであるにもかかわらず、世界の失明原因の約5割が白内障であるということです。この事実を知り、今私達が進んだ医療を受けることが可能であることをありがたく思うとともに、国や地域の違いだけで、治せる病も治せないという現実があるんだということを実感しました。今日の講義を聞いて国際医療に貢献できるような医師になりたいという新たな夢が芽生え、ますます医師になることへの思いが強くなりました。今日はありがとうございました。

自分自身、目がかなり悪いのだけど、今回先生の講義を聞いて、自分は目について全然知らなかったんだなと実感することができました。どんなことが原因で失明するのか、そもそも失明とはどのような状態のことなのか、その治療法など知らなかったことが知れて面白かったし、眼科についても興味が湧いてきました。「目」は人体の中でもとても小さな器官でしかないのに、それが人としての生活において担う役割はとても重く、人体の中でもかけがえのない最重要な器官のうちの1つなんだと知りました。そもそも、人体の中で欠けていい器官なんて無く、自分が五体満足で生まれてきたことに感謝しつつ、人がそれらの欠損により不幸になってしまうということを防ぐために、技術を開発・進歩させ続ける技術者や研究医の方々、そして、それらを実際に使って治療を行っている医師は、本当にかっこいいなと思います。自分もそのような人間になれるよう頑張ろうと思いました。


≪第4回≫

膵臓がんが、早い段階において、特徴的な症状がないということから、がんが発生しても早期の発見が難しいことが分かりました。病気を治すためには、早期発見がとても大切なことだと思うので、早く見つけられるようにするための発見方法を、見つけなければならないと思いました。手術のビデオは見ていて面白かったですが、作業を何時間も続けていると考えると集中力が必要だと思いました。授業の始まりの所での英語での10分間のお話と、自己紹介では、自分が生活していく上で、大切なことを教えていただきありがとうございました。

岸和田先生のお話を聞かせていただいて、がんの恐ろしさを改めて感じました。がん患者の方はもちろんのこと、治療する医師にとっても、余命宣告をしなければならない、ビデオで見せていただいたようなアクシデントが起こり得る複雑な手術の必要がある、など負担が大きい病気なのだと思いました。また、ビデオや写真を見せていただいて、自分が授業で習ってイメージしていた膵臓と実際の膵臓では大きさや様子が異なっていて驚きました。あのような小さな臓器も手術で治療できる医師はすごいと改めて感じました。がんについてのお話以外にも、津校についても話して下さって、勉強だけでなく、部活動など、様々なことを体験させていただける環境に感謝すべきだと感じました。これから受験勉強する上でも、広い視野をもって取り組んでいきたいです。

膵臓がんの症状は、特別なものではなく、他が原因であっても起こることだったし、検査にも高いお金がかかるので、発見するのは難しいものなんだと思った。また早期発見が、治療するのに一番大切であるのに、発見できたときには、手遅れであったりと診断も治療も難しいものだと分かった。手術の映像は見たことがなかったので、どれがどの臓器であるのか分かりにくく、自分が思っている以上に様々な機械が使われているものだった。声掛けから相手の小さな変化に気づけたりと声掛けを改めて大切だと思った。 


≪第5回≫

総合診療はニーズ主義とあり、今の現状にあった患者さんの求めることに応じられる医療というものが必要なんだと思った。老人人口が増加することと、1つの病気から様々な症状が出ることもあることから、総合診療は今まで以上に必要になると思った。総合診療は住民を見て、高度な検査を行う前に診断しなければならないので、1つのことにとらわれないで幅広い知識が必要だと思った。在宅医療で、医者、看護師、薬剤師などが別の病院の人であることもあるのは知らなかった。その地域の特性やニーズに応えるためにも住民を含めたチーム医療が大切なんだと思った。


高齢化による社会保障費の増大に伴い、現在総合診療医のニーズがより一層高まっていることを知りました。今まででも総合診療医という単語自体は知識に入っていたのですが、実際どのようなことをされているのかといったことはあまり知っていませんでした。総合診療医という名前から、あらゆる医療の知識を身につける必要がありそうで、大変そうだなという勝手なイメージがあったのですが、「病気を治すことだけが、総合診療医の仕事ではなく、患者さんの背景も踏まえた上で、その人にとってより幸福な選択をする必要がある」という言葉を聞いて非常に奥の深い仕事なんだなと感じました。今注目されている分野についてある程度知ることができた非常に有意義な時間でした。ありがとうございました。 

社会的に見た日本の医療の問題や外国と比較した日本の医療の特徴についても話して下さって、違う視点から日本の医療について知ることができました。これから更に高齢化が進み、高齢患者さんが増加していく日本において、ますます医師が必要になること、三重県の医師が不足していることを改めて理解し、医師を目指す私たちも、そのような問題の改善に少しでも貢献するために、医療についての考えを一層深め、一生懸命勉強しなければいけないと思いました。また、地域医療において患者さんの病気だけでなく、生活習慣などの患者さんの全体の情報も考慮しなければならないのと同じように私たちも高校生である今の時期から広い視野をもつことが大切だと思いました。